書籍化した小説家になろう(web小説)系作品のレビューblog

小説家になろうやカクヨム経由で書籍化した作品のレビューを書くblogです。主に購入した書籍の中でも気に入った作品を紹介しています。たまに、書籍化していない小説家になろう作品も紹介します。


宝くじで一夜にして40億円もの大金を手にした志野一良。
お金と現代知識を使い、見事異世界の村を救った一良だったが、秘匿していた自身の存在が、ついに領主側に露見してしまう。
この窮地を切り抜けるため、一良は領主と面会することになったのだが--
amazon内容紹介
川に設置した水車の存在が不審者に気づき、村に兵士が遠征することになります。その結果、カズラの存在を隠すことが困難になったためにグレイシオールとして村に訪れた兵士たちの前に登場し「村に干渉せず、不当な扱いをしない」ことを条件に領主に会うことが決まります。

最初、カズラを捕まえたアイザックの態度にイライラすることもありましたが、カズラのことをグレイシオールだと認めると、態度が一転して敬虔な信徒のごとくカズラに接するようになり、裏表のない性格、若干の不幸属性もありお気に入りのキャラクターに格上げとなりました。

また初めての戦闘シーンを経て、地球の食べ物の意外な効果やカズラ自身が異世界の危険性を実感するきっかけになります。

それでも可能な限り地球の知識や物を軍事利用して欲しくないカズラと、数年後に確実に訪れる戦争の備えとして、カズラを軍事利用したい領主側(主に奥さんのジルコニア)との攻防は、これから長く続く葛藤となりそうです。

前巻のほのぼの田舎ライフから徐々に政治の色が強くなってきます。
舞台が村から領主へ、復興の規模も大きくなり新ヒロインの登場するなどストーリーが大きく進み出すことで、ほのぼの田舎ライフから徐々に政治の色が強くなる話でした。


ある日試しに買ってみた宝くじで、40億円もの大金を手にした志野一良。
金に群がるハイエナ共から逃げるため、先祖代々伝わる屋敷に避難した一良だったが、扉の先に突然異世界が現れて……
amazon内容紹介

主人公カズラが最初に訪れた村は飢饉のため村長含め、ほとんどの人が病か栄養失調に陥っている状態の村人と出会います。村人との会話や周りの風景などから異世界の可能性を考慮して、身分を薬と塩を持っている商人と偽ったところ、薬を使って村を助けてほしいと懇願されるところからストーリーが進みだします。

ただ薬と言っても胃腸薬と解熱鎮痛剤しか持っていないカズラは治療できる自信はなく、しかしその場の雰囲気で断れずに「遅くとも明日か明後日には全ての苦しみから解き放たれると思います」と、投げやりな気持ちと逃げ道を用意しつつ祈るように薬と偶然持っていたリポDを村長に飲ませます。
普通だとそのままご臨終コースなのですが、2時間後には薬を飲んだ村長は元気になり、地球の製品が異世界では違った効果が出るという謎が存在することに気づきます。

またお人好しのカズラは使い切れないお金と異世界を行き来できることを利用して、専門の業者に水車を作らせたり、肥料を大量購入して村の復興に尽力。その尋常ならざる道具や知識を見た村人は、村の昔話で登場する慈悲と豊穣の神であるグレイシオールの再来だと勘違いされ、影で崇められていきます。

異世界に行き来できる設定は
ネトオク男の楽しいい世界貿易と同じですが、魔法やゲーム的な要素は登場しません。また豊富な資金を利用して、金で解決できることは金で解決するといったスタンスも大きな違いでしょう。


お人好しでややお気楽な青年が神様と勘違いされ、それでも人々のために奮闘するほのぼの異世界ライフは大きな盛り上がりにはかけるものの、まったりライフの話が好きな人には堪らない作品です。
 


最高の素質(ステータス)を持つ少年が攻略するのは、異世界迷宮の最深部――! 

「絶対におまえを助ける。そのためなら、僕は――!!」
見覚えのない回廊で目覚めた相川渦波(アイカワ・カナミ)は、魔物から受けた傷をラスティアラという美少女に治療してもらい、ここが非常にゲーム的な異世界であることを知る。amazon内容紹介

予備知識もなく迷宮の中からスタート、迷宮の中で助けを求めた集団に見捨てられるなど、ハードモードから始まります。普通なら混乱したまま死ぬしかないのですが、混乱を条件に自動的に発動する謎のスキルにより冷静さを取り戻しなんとか脱出します。
ただこの謎のスキルが物騒で、使うたびに、

「いくらかの感情と引き換えに、精神を安定させます。」

というシステムメッセージが表示され、ステータス上では混乱の数値が増えていきます。にもかかわらず、実際は混乱が収まって冷静になるため、「ステータス上では混乱の数値が増えるが、現実は冷静になる」というギャップが出てきます。

混乱の数値が増えるとどうなるのか?といった不安や感情までもコントロールしてしまうスキルの怖さもあり、順調にストーリーが進んでも「何か悪いことが起こるのではないか?」という疑問を持ち続けてしまい、常に不安がつきまといます(他にも感情や思考をコントロールしそうなスキルが登場します)。

ストーリーの流れは、迷宮の最深部に行くと「どんな望みでも叶う」という噂だけを心の支えにして、病弱な妹と再会するために主人公カナミは仲間を探し、迷宮に挑戦します。
1日でも早く元に帰りたいため、ステータス、レベル、スキル、経験値といったゲーム的要素を利用してゲーム的な感覚で効率重視で迷宮を攻略しようとしますが、現地の人と触れ合うたびにノンプレイヤーキャラクターではないことを理解し、そのギャップに悩んだり、混乱を察知した謎のスキルが自動的に発動したりとストーリーは思ったように進みません( もともと非道な性格ではないため効率重視で人を利用するのには向いてないのでしょう)。

また終盤では、順風満帆な生活をいきなり破壊するボス戦。ボスとの会話で深まる異世界迷宮の謎、暴走するスキルといった怒涛の展開は目が離せません。

小説家になろうの作品ではゲーム的な要素+異世界ものはありふれていますが、不気味なスキル、ややダークめなストーリーは、他の作品とは一線を画する内容になっています。

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