書籍化した小説家になろう(web小説)系作品のレビューblog

小説家になろうやカクヨム経由で書籍化した作品のレビューを書くblogです。主に購入した書籍の中でも気に入った作品を紹介しています。たまに、書籍化していない小説家になろう作品も紹介します。

2017年01月

人から感謝されることを義務づけられた少年が異世界で大活躍。第2弾は美少女を救うために奮闘するのだが……。

シンがマンイーターを討伐してから三カ月経った。自分の力不足を痛感したシンはガルダから剣術の手ほどきを受け、その甲斐あって六級冒険者に昇級する。やがて、騎士団の魔物討伐の時期がやってきた。七級以上の冒険者の多くがボルディアナを出立し、それと入れ替わるにして、五名の騎士がボルディアナに配置された。その中にはダラスの村でシンが出会ったグランハートとミーシャの姿もあった。amazon内容紹介

- 1巻から2巻までの発売が長かったので、もう発売されないと思っていた「打算あり善行冒険者」の2巻。今回は、とある村の問題を解決するお話です。

「村人が困っていた→原因を排除した→ハッピーエンド!」といった一般的な流れではなく、惨劇の後始末と表現したらいいのでしょうか。間に合ったものと、間に合わなかった出来事があります。そのため、後味すっきりなハッピーエンドではなかったものの、「これはこれでありかな?」と思える程度でした。
さらに、ジル達の会話がいい感じに緩いので、悲劇的な内容もだいぶ薄まっています。

ラストにはシンの熱い(?)バトルもあるので、ある程度バランスのとれた内容だと感じました。2巻も無事に重版したようなので、打算あり善行冒険者の3巻もでるのかな?
この作品が続いている間は、シンとジルの成長を見守りたいなぁと思います。

元・公務員の山田さん、保育士&小学生四人パーティの「大黒柱」に――!!

異世界転生するとともに、1日に12時間「現代日本の自宅マンション」に帰還する能力を手に入れた元・公務員の山田さん。 amazon内容紹介

ビジネス的な交渉力・勇気・知恵で難事を乗り越える作品といえば、「安定志向の山田さんによる異世界転生」。1巻では、交渉力は神様に、勇気と知恵はサバイバルの実戦で発揮されます。
 

小説家になろうで登場する神様は、「土下座する神様」「なぜか、親身になってくれる(気に入ってくれる)神様」「間抜けな神様」あたりがテンプレでしょうか。「安定志向の山田さんによる異世界転生」に登場する神様を一言で表現すると「自由奔放な神様」。他の神様と「ドキュメタリー番組作成」という勝負のために、死んだ魂を転生させるという自由っぷりです。また、物事を深く考えない、子供っぽさもあります。神様として絶対的な能力がありつつも、子供っぽく自由奔放な性格……個人的には、関わりたくないですね。
 

そんな神様だからこそ交渉する隙があり、主人公はたびたび交渉し、自分達が生き残る可能性を少しでも高めていきます。そのやり方は、ビジネに近く(例えば、わざと内容の薄いメールを送り、相手に質問させるなど)、設定された年齢通りの大人としての主人公が堪能できる、魅力的な作品でした。なぜか、主人公は理解できてしまう「政治力の機微」といったものが出てこないのもポイントが高い。
 

安定志向の山田さんによる異世界転生」の作者が描いた別の作品、迷宮道先案内人(ダンジョン・シェルパ)も非常に面白かった(打ち切りっぽく終わったのが残念)ため、安定して面白い作品が書ける人だと感じています。この作品が気に入ったら別のも読んでみませんか?

セブンスやドラグーンなどが書籍化したことで有名な「わい/三嶋 与夢」さんの最新作である、幻想と現実のパンドラを紹介したいと思います。2016年9月から連載され、現在は53話まで公開されています。ほぼ毎日更新されているので、毎朝の楽しみとして読める作品です。

書籍化した作品はファタジーものでしたが、今回はVRものです。主人公がネタ種族であるオークのポン助というキャラクターで、VR世界をエンジョイする話です。1つ1つの要素は、小説家になろうでありあがちな設定ですが、セブンスの様な登場人物の会話などが楽しめるので、この作品独特の雰囲気が出ていて楽しめます。

またタイトル通り、ストーリーでは現実世界も重要な役割がありそうです。断言できないのは、まだVRがメインとなって話が進んでいるため、現実世界の話はさわり程度しか出ていませんからです。ですが、読んでいるとわかると思いますが、そのうち現実世界メインの章が出てきそうな伏線がいくつかあります。

またVRものの多くは、現実世界の延長線上にある近未来設定が多いので、幻想と現実のパンドラも近未来をベースとして設定だと思っていました。でも、それは勘違いであり、もっと遠い未来か現実とは関係のない世界の可能性が出てきました。まだ、全て説明されていないので、現実世界の謎解きも楽しみの1つです。

幻想と現実のパンドラは、前作、セブンスの雰囲気が残る作品です。あの作品が好きな人だったら楽しめると思いますよ。「VR」というキーワードだけで読まないのは損です!

作品を読む:幻想と現実のパンドラ

難攻不落の不問ビル 〜チートな彼女とダンジョン攻略〜


舞台は現実世界。主人公だけが存在に気づいている巨大なビル(不問ビル)と名付けて監視していたある日。少女がビルに入っていく姿をみて、ついにビルに入ることに。


あらすじは、このような感じです。


ビルから脱出することを目的とした作品。ビル内では魔法やスキルといった戦う手段が提供されたなか、なんとか戦いながらビルを攻略していきます。舞台は現代ですが、スマホでステータス確認ができるなど小説家になろうのファンタジー要素が強いため、ファンタジーが好きな人も満足出来る内容です。


副題に「チートな彼女〜」と書いてありますが、チート具合は「スキル・魔法が使える、戦闘訓練(剣術)を受けた兵士」レベルなので、「圧倒的な戦力で敵を蹂躙する」といったチートレベルではありません。戦闘で苦戦もしますし、主人公に助けられてボスを撃破することもあります。チート設定が嫌いな人も、耐えられるレベルのチートだと思います。


「第二層 怪談跋扈の深夜学校」は戦闘が長く、読み進めるのがつらくなります。しかし、2層の後半から新しい謎や登場人物が増えるので、頑張って第三層までは読み進めてほしい。序盤と比べて面白さが段違いですよ。

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