魔王軍第三師団の副師団長ヴァイト――それが、人狼に転生した俺の今の姿だ。
そんな俺は交易都市リューンハイトの支配と防衛を任されたのだが、魔族と人間……種族が違えば文化や考え方も異なるわけで、街ひとつを統治するにも苦労が絶えない。
俺は元人間の現魔族だし、両者の言い分はよくわかる。
だからこそ平和的に事を進めたいのだが……。
やたらと暴力で訴えがちな魔族たちを従え、文句の多い人間たちも何とかして、今日も魔王軍の中堅幹部として頑張ります!
amazon内容紹介
人外転生ものですが人狼なので、ぱっと見は人間です。ゴブリンやオークといった人外転生ものと比べて人外度が低いので主人公は人間じゃなきゃ嫌だ!という人にも読みやすくなっています。

あらすじにもある通り、ストーリーは人間の勢力が徐々に広がり、種族の維持が難しくなった魔族たちが人間に対して反攻。主人公のヴァイルは第三師団の副官としてとある街を攻めて占領するところから始まります。

当然、占領するだけでは終わらないので、どうやって統治するか?といった問題が出てきます。

現実世界でも生まれた国が違うだけでもトラブルや争いが絶えないのに種族が違うのだから調整が大変というレベルではなく、相互理解が不可能ではないかというレベルで価値観が違います。

その問題をどうやって切り抜けるか?トラブルを越えた先には人間と魔族が共存できる未来が待っているのか?ヴァイトを中心に人間と魔族の価値観が大きく変わり、世界も変わる。

体と闘争本能は魔族、心は人間のヴァイトが、脳筋魔族と繊細な人間との融和がこの作品の大きなテーマであり読みどころです。

文章は読みやすく軽めの本なので、何か本読みたいなーっと思った時にちょうど良い内容とボリュームでした。