元・公務員の山田さん、保育士&小学生四人パーティの「大黒柱」に――!!

異世界転生するとともに、1日に12時間「現代日本の自宅マンション」に帰還する能力を手に入れた元・公務員の山田さん。 amazon内容紹介

ビジネス的な交渉力・勇気・知恵で難事を乗り越える作品といえば、「安定志向の山田さんによる異世界転生」。1巻では、交渉力は神様に、勇気と知恵はサバイバルの実戦で発揮されます。
 

小説家になろうで登場する神様は、「土下座する神様」「なぜか、親身になってくれる(気に入ってくれる)神様」「間抜けな神様」あたりがテンプレでしょうか。「安定志向の山田さんによる異世界転生」に登場する神様を一言で表現すると「自由奔放な神様」。他の神様と「ドキュメタリー番組作成」という勝負のために、死んだ魂を転生させるという自由っぷりです。また、物事を深く考えない、子供っぽさもあります。神様として絶対的な能力がありつつも、子供っぽく自由奔放な性格……個人的には、関わりたくないですね。
 

そんな神様だからこそ交渉する隙があり、主人公はたびたび交渉し、自分達が生き残る可能性を少しでも高めていきます。そのやり方は、ビジネに近く(例えば、わざと内容の薄いメールを送り、相手に質問させるなど)、設定された年齢通りの大人としての主人公が堪能できる、魅力的な作品でした。なぜか、主人公は理解できてしまう「政治力の機微」といったものが出てこないのもポイントが高い。
 

安定志向の山田さんによる異世界転生」の作者が描いた別の作品、迷宮道先案内人(ダンジョン・シェルパ)も非常に面白かった(打ち切りっぽく終わったのが残念)ため、安定して面白い作品が書ける人だと感じています。この作品が気に入ったら別のも読んでみませんか?