書籍化した小説家になろう(web小説)系作品のレビューblog

小説家になろうやカクヨム経由で書籍化した作品のレビューを書くblogです。主に購入した書籍の中でも気に入った作品を紹介しています。たまに、書籍化していない小説家になろう作品も紹介します。

タグ:ファミ通文庫


「帰っておいでよ、ヴェーレス」
合同調査から戻ったケータに、四天王の一人である百獣族の族長ベスティアリは告げた。
その勝手な言い分に、怒りながらも心がざわめくケータ。
そんな折、フレッドフォード召喚学院は、年に一度開催される創立祭の準備に沸いていた。
成績上位者のみが参加を許されたイベントの華――精霊召喚タッグトーナメントで、
優勝を目指して闘志を燃やすイリスたち。
それを尻目にケータは、光の勇者や“白の腕"が賓客として集結するその日こそ、
元の世界に還る糸口が掴めるのではないかと意気込むのだが……。amazon内容紹介
前巻のラストの死闘から生き残ったメンバーには確固たる絆が残ったが、ただ一人地上に残ったため、同じ任務に参加したのにも関わらず絆を作ることができなかったライラ。

何かを得た人間と失った人間に分かれる結果となり、2巻はその問題が表面化し解決のためにケータが活躍するのがメインのストーリーですが、魔王から戻ってきてほしいとお願いされたり、勇者や白の腕といったメンバーとの遭遇などといったイベントが目白押しです。


召喚タッグトーナメントの攻略方法が若干無理やりな感じがして違和感を覚えましたが、イベント多く中だるみもなく楽しく読み進めることができました。

また主人公が魔族サイドだと勇者はヤラレ役で終わってしまうことが多いのですが、この作品ではほどよい強さを発揮してくれたのも良かったです。
いくら主人公と敵対しているからといって、非人道的な性格だったり実力が伴わないような勇者は興ざめですからね。

ヴェーレスとイリアの会話やライラの葛藤といったようにヒロインたちにも見せ場があり2人とも応援したくなります。本命は魔王さまなんですけどね。

あとがきに売り上げ次第で2巻で終わるプロットを用意していたことが書かれていたので、売り上げ次第では3巻で打ち切りも十分ありえそうですが、読みやすくまたキャラクターやストーリーも面白いため、売り上げを伸ばして3巻、4巻と発売し続けてもらいたいと期待しています。


「儲け話がある」とトリスタンが切り出した。依頼人は幼い少女。亡くなった父の形見を取り戻して欲しいと言うが――【少しだけ煤けた瑪瑙の指輪】。休日、ケーキバイキングを楽しむソアラの前に出された付与道具とは……【生クリームのついた小剣】。アンデッドであふれたダンジョンで、アネモネはデュラハンと化した兄と対決する。フジワラも、元凶となった“屍者のオルゴール”の鑑定に挑むが――!! amazon内容紹介
1話で1アイテムを紹介する迷宮都市のアンティークショップの最終巻。この巻で1巻から徐々に進んでいたメインストーリー(過去編)の百鬼夜行が完結します。

アネモネが立ち向かう亡霊たち、フジワラとラスボスとの対決など、1〜2巻と違いバトルのシーンが多くなっています。戦いの中や終わった後でお互いが大事な存在だと気付き2人の仲が深まるシーンは、ほっこりした気持ちになります。

これからもっと2人を中心とした話を広げてほしいのですが、あとがきを見る限りプロットが決まっていないため書籍として続きを出す予定はないようです。

3人目の仲間探しや 餓叉髑髏(がしゃどくろ) との戦いなど、まだまだ語れる部分が残っているのにもかかわらず最終巻となってしまったのが残念です。

とはいえ、グッドエンディングが約束された作品なので安心して読めますし、迷宮探索がテーマなのにほのぼのとした雰囲気は1〜2巻を読んで楽しめた方であれば3巻も同様に楽しめる作品になっています。

なろう系には、このような雰囲気の作品は少ないので、いつかまた書籍で続きを読める日を待っています。
 


「わたしに、ライトノベルの書きかたを教えてください」

平凡な高校生の青は、実はラノベ新人賞の下読みのエキスパートだ。
そんな彼は、ある日応募原稿の中に、同じクラスの氷ノ宮氷雪の作品を見つける。
"氷の淑女"と呼ばれる孤高の少女が、フォント変えや顔文字だらけのラノベを書いて投稿している!?
驚く青だが、その後ひょんなことから彼女の投稿作にアドバイスをすることに。amazon内容紹介
自己評価が低い美少女(氷雪)と応募作品を評価する男子(青)が、氷雪の書いた作品を通じて2人が出会うBOYS MEET GILRSな作品です。

ありえそうで現実ではありえない絶妙なリアリティと、氷雪の物語とシンクロする2人の関係は甘酸っぱく、読むだけで恋がしたくなります。
また恋に落ちる表現として伏線というキーワードが出てきますが、使い方や表現が良く、2人が自然と恋に落ちるまでの流れが分かりやすくなっています。

この流れは、チョロインたちには見習ってほしいものです。

他にも小説を書くにあたり気をつけたいことや心構えといったものも説明されていて、どのような考えのもと作品を書いているのか、読み手としても非常に参考になりました。
 
1巻完結の作品は久々に読みましたが、この少し物足りない感じが物語が終わった後の妄想を良い具合に広げてくれるので、いつ終わるかわからない作品より数倍良いですね。

読者に妄想の余地を残しつつ綺麗に終わるこの作品は、読了後の余韻に浸れる良い作品でした。

 


超強大な魔力をひた隠し、目指すは平穏無事なスクールライフ!

平凡な中学生だったケータが、異世界ディルスマグナに召喚されて早三年。
フレッドフォード召喚学院に通うケータには、ある秘密があった。
それは彼が魔王の腹心、大元帥ヴェーレスとしてかつて名を馳せていたこと!
ヒトと魔族が和平を結んだ後、正体を隠し、
強大な魔力を封じて元の世界に戻る方法を探すケータだったが……。amazon内容紹介
魔王の魔力によって魔族の体に変化したため、人間社会に溶け込むために魔力を封印&人間の体に偽装してからスクールライフを満喫するお話です。

主人公ケータはヒヨコしか召喚できないために劣等生扱いされるものの、魔力を開放すれば一転して他者を圧倒する能力を見せつけることができます。

本当の力を隠しながら劣等生として生活する。

よくある設定と言えばそれまでですが、能力を発揮すると人間の体に戻ることができなくなるため、人間社会から追放され、元の世界に帰る手がかりを失ってしまうために力の使い所が難しく、そのためある程度の緊張感を持ちながら戦闘シーンを読み進めることができます。

また隠す理由や力の出しどころも納得感があり、この手の作品としては好感の持てる主人公です。

ケータはなぜ召喚されたのか、魔王は人類に対して優勢に進めながらもなぜ停戦したか、といった謎もあり次巻以降に期待の持てる作品でした。


スキル「強奪」を武器に全てを奪い尽くせ!!

佐藤優は義父に殺された……はずが、目を覚ますとそこは異世界。
老婆ステラに拾われた彼は、彼女の優しさに触れ、この世界で生きる決心をする。
だが黒髪黒目は忌み子と村人たちからは蔑まれ、さらに村の冒険者ハーゲにステラまで馬鹿にされてしまう。amazon内容紹介
スキル強奪系の主人公(or 敵)といえば、自己中心的で人が死ぬことにたいして何も感じない人格が破綻している性格が多いのですが、この作品の主人公も例外ではありません(例外はライオットグラスパーぐらいです)。
前世、今世(赤ん坊スタートの転生ではないので今世と言っていいのか微妙ですが・・・)で多くの人にいじめられながら育ったため人が信じられず、人を敵と味方(利用する、される)という枠組みでしか捉えられない人間が主人公です。

そのため敵と判断した人間には容赦なくスキルを奪う、または殺してしまいます。そこにためらいといったものは存在しません。その代わり味方に分類した人にはツンツンしながらも優しさをもって接します。

ただその味方に分類されるまでの時間は長く、何度拒否されても耐えられる心の強さが必要で、現実世界では「そんな人いないよ」と思えるぐらい主人公ユウに対して献身的なヒロインなどが登場します。

ユウの設定上、味方になる人たちはユウに対してご都合主義的な振る舞いをしなければならないため、態度がややオーバーなので気になってしまいました。

積極的にスキルを奪い、自己強化し、敵に無双する。献身的なヒロインに従順な奴隷といった小説家になろう系のテンプレートをみごとに踏襲しているので、主人公の性格が気にならなければ読んでいて楽しめるかと思います。
 

 

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