「俺は世界を救わない。ゴブリンを殺すだけだ」ゴブリンといえば、残虐、女性を拐う、個体数が多い、最弱モンスターといったイメージがあり、そのイメージに引っ張られるように彼らを題材とした作品(例えばゴブリンの王国)は暗く重くなりがちです。ゴブリンスレイヤーも例に漏れることなく、ゴブリンの残虐性や悪意といったものが前面に出ていて、1話1話でゴブリンの被害に出る人が確実に出ています。
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「ゴブリン以外に用はない」
これは、小鬼を殺すだけの男が「冒険者」になることを願う物語。
「俺は世界を救わない。ゴブリンを殺すだけだ」
その辺境のギルドには、ゴブリン討伐だけで銀等級(序列三位)
にまで上り詰めた稀有な存在がいるという……。
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特に「中途半端に腕っぷしに自信のある奴は数の暴力の前には無力」という冷たい現実があり、被害者に救はありません。
とはいいつつもバッドエンドで終わるわけでもなく、最後には心温まるエピソードもあるため後味が悪いというわけではありません。他の作品ではぼかされていたゴブリンの悪意が強めに描かれているだけです。
また主人公のゴブリンスレイヤー(これが名前!)は若干、コミュ症気味かつロボットのようにゴブリン退治を機械的にこなしていく姿を見ると、人間味が薄く、あまり魅力的に感じないかもしれません。
ただ読み進めていくと徐々に彼がなぜゴブリンを狩るのか、何を感じ、どう考えているのか少しづつ見えてきます。そういったゴブリンスレイヤーの内面が見えてくると「がんばれ」と、不器用な彼の生き様を応援したくなり、その気持ちは作品に登場するハイエルフに近いかもしれません。
ゴブリンと人間との戦いを描き最後は大団円を迎えるこの作品は、人は選ぶものの久々にお勧めできる作品でした。