書籍化した小説家になろう(web小説)系作品のレビューblog

小説家になろうやカクヨム経由で書籍化した作品のレビューを書くblogです。主に購入した書籍の中でも気に入った作品を紹介しています。たまに、書籍化していない小説家になろう作品も紹介します。

タグ:GA文庫


「俺は世界を救わない。ゴブリンを殺すだけだ」
圧倒的人気のweb作品が書籍化!

「ゴブリン以外に用はない」
これは、小鬼を殺すだけの男が「冒険者」になることを願う物語。
「俺は世界を救わない。ゴブリンを殺すだけだ」
その辺境のギルドには、ゴブリン討伐だけで銀等級(序列三位)
にまで上り詰めた稀有な存在がいるという……。
amazon内容紹介
ゴブリンといえば、残虐、女性を拐う、個体数が多い、最弱モンスターといったイメージがあり、そのイメージに引っ張られるように彼らを題材とした作品(例えばゴブリンの王国)は暗く重くなりがちです。ゴブリンスレイヤーも例に漏れることなく、ゴブリンの残虐性や悪意といったものが前面に出ていて、1話1話でゴブリンの被害に出る人が確実に出ています。

特に「中途半端に腕っぷしに自信のある奴は数の暴力の前には無力」という冷たい現実があり、被害者に救はありません。

とはいいつつもバッドエンドで終わるわけでもなく、最後には心温まるエピソードもあるため後味が悪いというわけではありません。他の作品ではぼかされていたゴブリンの悪意が強めに描かれているだけです。

また主人公のゴブリンスレイヤー(これが名前!)は若干、コミュ症気味かつロボットのようにゴブリン退治を機械的にこなしていく姿を見ると、人間味が薄く、あまり魅力的に感じないかもしれません。

ただ読み進めていくと徐々に彼がなぜゴブリンを狩るのか、何を感じ、どう考えているのか少しづつ見えてきます。そういったゴブリンスレイヤーの内面が見えてくると「がんばれ」と、不器用な彼の生き様を応援したくなり、その気持ちは作品に登場するハイエルフに近いかもしれません。

ゴブリンと人間との戦いを描き最後は大団円を迎えるこの作品は、人は選ぶものの久々にお勧めできる作品でした。

『小説家になろう』で話題の「実は一途で純情少女」系ラブコメ!! ※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です。 偶然助けた不良少女がヒロイン級美少女に!? 隠れオタクの高校生・新宮清一は、校内一の不良少女・綾女古都子を偶然助ける。これが切っ掛けとなり、古都子は清一に一目ぼれし、ギャルゲーの様なヒロイン級美少女に生まれ変わる!! amazon内容紹介

なろう系の作品では珍しくラブコメで書籍化した作品です。何回か重版され、ドラマCDまで発売するそうなので売り上げとしては順調なのでしょう。

過去に女性に騙された経験から2次元の女性(キャラクター)にしかのめり込めない主人公の清一と中古(=非処女)疑惑のあるヒロインの古都子を助け、それがきっかけとなり古都子が清一に惚れるところからストーリーが始まります。

1巻では、古都子が清一の趣味を理解しようとエロゲーをプレイしたり、好みの髪型やしぐさなどを研究する健気で一途なシーンが何度も登場し、自然と古都子を応援したくなるような展開が続きます。
好きな人の趣味を理解したいからエロゲーする、髪型を変える、服装を変えるといったリアリティのある尽くす表現と、彼氏でもないのにお弁当を作るというオタク的な妄想を組み合わせたアピールが続き、非常に好感のもてるヒロインです。

清一も2次元ラブだからといって3次元の女性をないがしろにするわけではなく、3次元の女性には興味がないことをちゃんと伝え、それでも努力して清一の理想に近づこうとする古都子を邪険に扱うのではなく、一人の人間として尊重し、関わり、そしてお互いが少しだけ成長する。すこしひねくれているけど魅力的な主人公です。

1巻に出てきた謎は1巻でほぼ全て回収されるのので、少しでも気になったら1巻だけ購入するのもアリだと思います。

2巻〜3巻は噂がキーワードがとなり、古都子や清一の悪い噂を解決するために動き出します。
1巻は恋愛が前面に出てましたが、2巻以降はそれに加えてコメディやミステリー(といっていいのかな)要素も少しづつ出てきます。もちろん古都子と清一との恋愛も進み、3巻ではついにデートをして古都子の魅力に気づくシーンが出てきます。

いい加減2次元卒業しろ!と感じる時もありますが、もう少しだけ古都子の努力を見ていたいという欲求もあるので、もうしばらくはこのままの展開でいいかなと思っています。

男女問わず貞操の危機におちいったり、ギャルゲー風な表現や男の娘が出てきたりするので、この部分が気になる人にはお勧めできませんが、軽い恋愛ものを読みたい人にはお勧めできる作品です。

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